薔薇の棲む家

結婚したら、家にいるだけでいいと彼は言った。

私にとってもそれは嬉しいことだった。

いい加減、周りの女性からの羨望と敵意の眼差しと、男からのねぶり回すような視線にもうんざりしていたのだ。

家にいるということは、彼の、蓮の母親と昼間を一緒に過ごすということだが、全く問題は無かった。

蓮の母である女性は、彼と、また私と同様に美しかったからだ。

美しい女性は私を鋭い目で見たりしない。遠慮がちな視線を投げかけたりもしない。

彼女は17歳で蓮を産んでいて、まだ40代に入ったばかりだった。

名前は牡丹(ぼたん)という。