夫である二階堂蓮(にかいどう れん)と知り合ったのは大学2年生の時だ。

パーティーコンパニオンのバイトをしていた私は、ある宴会で彼に出会った。

露出の多いドレスを着て、中年の男に愛想を振りまくつまらない仕事。

にやにやと口元をだらしなく緩ませながら絡んでくる男たち。

そんな中で、一人醒めた表情の若い男性は、背が高いことを抜かしても十分に目立っていた。

長い睫毛にふちどられた淡い色色の目。引き締まった口元、彫刻のような横顔。

掃き溜めの鶴。草むらの中の柘榴。

美しい彼を見つめてしまうのは私だけではなかった。

同僚のコンパニオンたちも、明らかに彼を意識していた。