「サッカー部体験やってまーす」

「料理研究サークル、今日はアップルパイを焼きます。食べるだけでもいいから来てください！」

「おい、どこのサークル行く？」
「バスケ行こうぜ」


春の眩しい光が差し込む中、大学構内はとてもザワザワとしていた。
新入生が入学して少し経ち、サークルの勧誘競争は最も盛んな時期を迎えている。

私は目の前に置かれた紙を見た。文芸サークル説明会参加者、と一番上に大きく黒字で書かれており、その下には学部と名前を書く欄がある。

私はペンを手に取り、机を挟んだ向こう側にいる女の子に渡した。

「学部と名前の記入をお願いします」
「はい」

ペンを受け取った彼女は、女の子らしい可愛い字で記入してから私にペンを返した。そして、にこっと笑う。

「二年生さんですか？」

そう聞いてくる姿が、同性から見ても可愛くて少し気後れしてしまった。

私が頷くと、彼女は「大人っぽいですね」と微笑んでから奥へ歩いていった。

彼女がいなくなるとふぅ、と息を吐いた。初対面の人と話すのは苦手だ。だから本当はサークル説明会の受付なんかしたくなかったのだが、二年生がやると決まっていたので仕方がない。

また新しく一年生が来たので、私はさっき同様ペンを渡し、必要事項の記入を求めた。