媚薬と私


結局、由紀子にメールをしたのは、あれから一ヶ月後だった。


食事の誘いのメールは、僕にとって抵抗があった。


お酒が入っていたから、食事の誘いに応じてくれたのかも知れないといった感じを拭いきれなかったからだ。


いや、元々社交辞令なのかも知れない・・。


こういった否定的な考えが、後から後から僕の頭をよぎっていた。


そして、妻に対する罪悪感もあった。


単に食事をするだけと思っても、二人きりではやはりまずいだろう。


それに男は少なからず、食事だけと考えても、もしかしたらその先に進展があるのではと
考えなくはないからだ。


ここのところ、妄想ばかりが激しく浮かんでくる。


いや、浮かんでくるのではなく、妄想しているのだ。



由紀子にメールをした内容は、仕事の事だった。


仕事の近況報告を、メールにした。


由紀子からの返事は、すぐには来なかった。


僕はそれでも、何とも思わなかった。


仕事の話しを一方的にしたのだから、返信も難しいのかも知れないと思っていた。


由紀子からの返事は、翌朝きた。


通勤電車の中で、僕はそのメールをワクワクしながら開けた。


僕の仕事の内容に対して、一つ一つ答えてくれていたのだ。


なんだか、とても嬉しくなった。


すぐに返信をしたかったが、朝の通勤時に余裕がなかった。


また、これは個人差にもよるが、僕は好きな相手ほど、返信に時間をかけている。


理由は、ゆっくりと考えながら返事を書いている為だ。


由紀子に返信したのは、その日、仕事が終えてからで、夜になっていた。


由紀子も同じタイプなのか、既読になっても、返事がすぐに来ない・・・。


しかし、次の日には返事がくる。


そしてまた僕は、その日の夜に送る。


こんな事を繰り返しているうちに、由紀子から次のようなメールが来た。



「今度、食事しましょう!」


僕はそのメールを、何度も何度も読んだ。


心が躍った!


僕は「ありがとう」と一言返した。