「で?朝そのまま帰って来たと。」

『うん…。』

今日の朝のことを、その日の夜に同じ会社の友達に聞いてもらってる。

飲みに行く気にもなれず、いつも行くカフェに杏(あん)と来ている。

杏は大学が臣と一緒で。

私達はその繋がりで出会い、同じビルで働いてることからも仲良くなり付き合った。

「あんのクソ男!紹介なんてしなきゃ良かった!ぶん殴ってやる!」

杏さんはキレるとかなり口が悪くなるのです。

「アイツからやたら着信があったから出たけど、何言ってるかわかんないから椎にかけたのよね。」

そう、私からじゃなくて杏から呼び出されたんだよね。

コーヒーカップを両手に挟んで、ボーッとコーヒーを眺めながら、溜め息をつく。

『…もう、臣を信用できない。』

「…だって。諦めろ、浮気男。」

『えっ?!』

振り向くと、そこには臣と臣の会社の同期で仲の良い市瀬くんがいた。

「椎…。」

朝と全く変わらない泣きそうな顔。

「だから、あれほどあの先輩とは飲みに行くなって言ったのに。大学ん時から酔ってナンパしてお持ち帰りなんて、当たり前だったじゃん!彼女がいる時は…理性保てないなら…関わるなって私言ったよね?!おいっ、聞いてんのか、クソ野郎?!」

杏が私の隣に座り直し、二人が目の前に座った瞬間、杏が罵声を放つ。

これでも杏なりにかなり抑えてます。

「まぁまぁ。とりあえず落ち着こうか。」

市瀬くんがなだめようとしてるけど…てか、何故二人いるの?