「なら、どうすんの?」

壱兄の問いかけに笑が返す。

「ちょっと待て。」

そう言いながらスマホで誰かに電話しだした壱兄。

「もしもし、湊(みなと)。今話せるか?ああ、今から住所メールするから、すぐ来てほしい。近いから。よろしく。」

簡潔にそれだけ言うと、すぐにメールを打ってるみたい。

湊って、あの湊くんだよね。

壱兄の高校からの同級生で、どこかの社長さんだった気がする。

ホテル経営だったかな?

アパレルだったかな?

確か手広くやってたような。

『湊くん呼んでどうするの?』

「まぁ、湊が来てからな。」

ニコニコ笑いながら、私の頭を撫でる壱兄。

なんかイヤな予感がする。

私の怪訝な顔つきに気がついてるくせに、気にもとめない。

なんなの?

なんて考えてたら、下の玄関のインターホンが鳴った。

壱兄がオートロックを解除して、戻ってきた。

湊くんが来たのね。

早い!