side...
「そんでさー」
昼休み。
廊下で一年から仲のいい友達と喋ってたら、突然そいつが、あ!と言った。
「どうしたの?」
「あの子だ、あのー、いつも爽太に大好き言いまくってるど直球な女の子」
「菜奈ちゃん?」
「あーそう!ほら、あそこ!」
友達の視線の先を見れば、
ちょこんとその場で立ってこっちを見てる菜奈ちゃんと目があった。
目があった途端に嬉しそうにして…
目をキラキラさせて…
俺が手を振れば、それはもう、嬉しそうに笑ってから深くお辞儀をして去って言った。
背中から見える幸せオーラに
つられてこっちまで笑ってしまう。
「いつもの“先輩!すきです!”がないんだな」
「うーん、なんて言うのかな。
言う時と言わない時の規則性があるんだよね」
「例えば?」
「俺が誰かと話してたりすると、
今みたいな感じでお辞儀して終わり。
1人だと、直球に気持ちを伝えてくるし…」
「なんつーか、線引きが上手いんだな、その子」
本当にその通りだと思う。
だから、嫌だなって思ったことは一度もないし、そのストレートさが心地いい。
偽りのない笑顔で言うから、
何度好きと言われても、疑うことがなく、
俺のことこんなに好きでいてくれるんだって
思わせてくれる。
そんな力を持ってるんだ。あの子は。


