「って、好きにならない方がムリだよね!」



「はいはい、もう分かったから。
もうそれ今日で3回目だよ、菜奈」



さっきからいいところばかりしか出てこない男の人…



は、この学校の王子様ってみんなから言われる人で、2個上の高校三年生の先輩。



入学式の日に転んだところを助けてもらってからずっと、毎日すれ違えば声をかけてる。

というか、助けてもらってから少しして
すぐに恋に落ちたその瞬間に、



『先輩!好きです!』


って告白してる。



先輩は目を丸くさせて、ちょっと困ったように笑ってから、



『えっと…とりあえず、仲良くなってからにしようかな…?』



って、そう言ってくれた。
振られるつもりだったからビックリで…。



先輩はサッカー部のキャプテンさんで、試合がある度に必ず観に行ったし、

それなりには仲良くなった。



もはや私が先輩に好き好き言うのが日常茶飯事化したこの学校では、
私と先輩がすれ違っただけでみんな、
またやってる…って呆れ顔になるくらい。



ただ、ただ、



ファンクラブの皆様からの視線は、痛い。