# 「春山くん」 ふいに貴方の名前を呼んでしまった。 桜の花びらが舞う渡り廊下。 風の音と、鳥の声、そこに私の声が重なる。 いつものようにポケットに手を入れて、少し猫背気味の背中。 振り向いた君。 前髪をさらりとゆらして、少し目を見開く。 「え?」