俺が愛した、あおいの話

ハンドルがやけに汗ばんでいた。
ペダルからは足がすべり落ちた。

それでも視線は釘づけだった。
見たくないのにそらせなかった。

「まるでプロモーションビデオみたいに、二人だけ別世界だった。すぐに分かったわ。隣にいる子が、和也の好きな子なんだって」

二人はゆっくり歩いてた。
実際は今も分からないけど、少なくともあの時のわたしには、スローモーションのように見えた。

目と目を合わせて笑い合い、顔を近づけて耳元で話し、口を大きく開けて笑って、再び目と目を合わせあう。

幸せオーラが溢れ出していた。
二人を包む雰囲気が違った。

あんな風に笑う和也を、、、
わたしは見たことがなかった。

その顔で見つめる先にいるのは、同じ顔をしてる蒼井で、お互いに腕や肩に手を回し、ベタベタと触り合っていた。

そのうち蒼井が荷台に座って、和也も自転車にまたがり、日課みたいな自然な空気で、二人はどこかへ姿を消した。

信じられない光景だった。
衝撃的すぎて動けなかった。

あの和也が恋をしていた。
相手も和也に恋をしていた。

「名前はあとから調べたの。もちろん、それも和也には内緒で。同じ学校に通ってる人に、名前以外も色々聞いたわ」