俺が愛した、あおいの話

「和也さんから聞いたんですか?好きな人ができたって」

「和也からは何も聞かなかったわ。和也の部屋を見て気づいたのよ」

テレビとベッドとテーブルと、
辞書と本棚と勉強道具、、、

それくらいしかなかった部屋は、徐々に姿を変えていった。

ある日からは、ファッション雑誌。
ある日からは、人気の香水。
ある日からは、全身鏡。
ある日からは、知らないマンガ…

タイトルも覚えてないけど、明らかに和也の趣味じゃなかった。

なのにそれはいつも違う表紙で、テーブルの上に置かれてた。

誰かから毎日借りてる?
それとも誰かがここに来てるの?

そう思いながら部屋を見渡して、
恋をしているとようやく気づいた。

「気づいても相手は分からなくて、和也に聞こうと思ったんだけど、なんとなくなんか、言われてないし…。訊くのもちょっと、違うのかなって」

訊いたら話してくれたと思う。
だからわたしは聞けなかった。

聞いたら最後、、、そんな気もしたし、
会えなくなるような気もした。

「だから確かめることにしたのよ。もちろん和也には内緒で。校門の前で待ち伏せしたわ。反対車線の見えないところで」

そこから後をつけていけば、なにか手がかりを掴めるはずだ。

知りたくないのに意気込んでいた。
こんな終わりは許せないと…