私が忘れそうになったプリントの束は仁がしっかりと持って行ってくれてる。


流石委員長。



「……何?」

「プリント忘れない辺り流石委員長だと思って」

「馬鹿なアンタとは違うのよ」

「アホな仁に言われたくないな」



プリントと鞄で両手が塞がってる仁は、私を足蹴にしようとする。


でも残念。


仁さんの癖なんて私にはお見通しなのだ。



「すぐ足と手が出ちゃう仁を私が解ってないとでも?」

「うるさい馬鹿。頭突きでも喰らわしてやりましょうか?」

「あら、それはご遠慮願いますわ」



2人して馬鹿言いながら職員室に向かう。



「「失礼します」」



担任にプリントを渡し、足早に職員室を出た――…その時。



「あ」

「ん?」



勢いよく振り向いた仁の視線を追い、同じように振り返ったそこにいたのは、



「………っ、」



17年生きてきた私が、初めて恋をした人。