そう思えば思うほど、あの人が何者なのか気になっちゃうし……。
何者って言うか、同じ学校なんだし、会おうと思えばいつでも会えるんだけどね。
ただあのクラスに親しい人がいなくて、あの人の名前を呼ぶなんて今の私にはもっと無理だ。
だって緊張するじゃない。
好きな人の名前呼ぶのって……。
「―――……え?」
「え?」
あれ……今…なんて………?
好き…な、人?
今私、自分で好きな人って……?
「ちょっと、どうした?」
「………」
「おーい、大丈夫?」
ショートしてる私の頭の中で仁の声が響くも、声にならない感情が胸を渦巻く。
認めてしまった……。
その瞬間にこんな感情が襲ってくるなんて……。
「ちょっと、凛(りん)!!」
「え…あ、ごめん……」
心配そうに私の顔を覗いてくる仁にぼんやりした頭で応える。
どうしよう……。 私認めちゃった……。
好き、なんだ……。
自覚したと同時にあの人の顔が頭に浮かんだ。
「っ!!」
「…ん? あんた顔赤いけど、熱でも出た?」
「そ、そんなんじゃないから…!」
慌てる私に"は?"とでも言いたげな視線を送り付けてくる仁。
あ、バレてない?


