「アンタは気になる人がいるって言うけど、それはもう恋なんだよ?」
仁の言葉に胸が痛んだ。
分かってる。これが恋じゃなかったら私は一生恋なんて出来ないと思うもん。
それくらい、今のこの感情を大切にしたいとも思う。
だけどそれを許さないのが仁で。
「幸せになりたいって言う割に、誰も愛そうとしないじゃない」
「………」
「それに、アンタは恋愛したことないって言ってるけど、あたし的に1度大きな恋愛してると思ってるから」
「……根拠は?」
「長年一緒にいるから」
「ふっ。意味不明」
仁の言葉の意味が分からないわけじゃない。
私は恋をしてる。
私は恋をしたことがある。
そう言いたいんだ。
だけど私自身そうは思えなくて。 記憶にないだけなのかもしれないけど、本人が覚えてないのに親友が覚えてる恋愛ってのもどうかと思うし。
だから私は恋を、恋愛を知らないって思ってる。
相手が誰でもいいなんて思えない。
告白して来てくれた人の中には、学校中の女子がイケメンだとか優しいだとか言ってる人も何人かいた、と思う。
だけど私には響かない。
私は、違うと思うんだ。
だって、あの人みたいに雷が堕ちなかった。私の中でビビッと来なかった。
あの人じゃなきゃ、ダメなんだ――……。


