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ある程度の内容を話し終えた凛を見て大楠さんは大きな瞳からこれまた大きな涙を零した。


それは綺麗で、何より凛と俺のことを想っての涙だと分かっているから余計に綺麗に見えたのだろうか。


どちらにしても誰かを想う涙は綺麗なんだと知った。


カフェで付き合った報告などをした俺たちはその場で1時間〜2時間ほど話して各自解散。


佐々部がやたらと俺の家に来たがってたけど、今回は却下って事にしといた。


いや、本当はいつでも来ていいんだけど、今はちょっと、もう少しだけ現実に浸って、幸せな気分を味わっておきたいだけで。


大切な凛の存在を知って、出会い、こうして俺たちの想いが繋がったことが本当に嬉しくて。


凛はもしかすると、この先も1人で抱えるかもしんねぇけど――……。


ふと思い立って凛のLINEを開く。



《今日はありがとう。
これからよろしくお願いします》



送信すると数分で返事が来た。



《こちらこそありがとうございます。
暖もこれからよろしくお願いします!》

「ふっ、真面目…」



1人呟いてみるもそんな彼女が愛おしくてたまらなく想った。 だけどそれと同時に、俺の秘密をちゃんと伝えなくちゃいけないんだと、ひしひしと感じた。


凛に秘密にしたいわけじゃない。


でもこれは、きっと、俺だけの問題でもない。


だからこそ簡単に口には出来ないんだ…。


いつか凛に言える時が来るとしたら、それはいつになるだろうな……。


俺は凛と離れる気なんてないし、凛を離す気だってない。


それでも俺たちの関係をよく思わない奴はやっぱりこの世界には沢山いるだろうって事も、なんとなくだけど、分かってはいる。



「………凛、今すぐ吐き出してぇよ…」



俺の独り言は静かな部屋に吸い込まれて空気に溶け込むだけ。


周りの目なん気にしなくていい。


そう思いつつも凛のことを考えると、アイツの笑顔が消えるかもと思うと何も出来なくなる…。


しばらくの間は秘密にしよう。


1人、静かな部屋で、そう心に誓った。


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