"暖の全てを受け止めたい。"


そう言った凛の声は昨日みたいに泣きそうな声じゃなかった。


どんな場所でだってひたすらに上を向き続ける花みたいに強かった。


例えが可笑しいかもしんねぇけど、俺にとって凛は名前の通りいつだって凛としてて美しいと思うんだ。中身も見た目も。


お前は知らないだろうけど、俺だって周りの奴らと同じようにお前を見てきたんだよ。


ずっと、ずっと――…。


言いたいことを押し殺して、気持ちを隠して。


でも、もう限界なんだと分かった。知ってしまった。凛と友達になったあの日から、俺の限界は決まってたんだ。



「ねぇ、暖。 暖は今、どんな気持ちなの…?」



………凛、俺、お前に言わねぇといけないことがあるんだ。


怖いかもしんねぇけど。


泣かしちまうかもしんねぇけど。


それでも、聞いて欲しいんだ…。



「………泣かせたからごめん。悲しい気持ちにさせたらごめん。 でも俺は、凛に言わなきゃいけないと思うんだ」

「うん、大丈夫だよ。 ――だから、暖の声で聞かせて」



覚悟を決めたように俺を見てくる凛の瞳に吸い込まれそうになった。


強くて、美しくて、どこまでも儚い凛が、とてつもなく愛おしいと思ったんだ。