佐々部のことを知らない奴がこの学校にいるわけもなく、俺たちは教室で遠巻きに見られていたのを覚えてる。


人懐っこい佐々部の笑顔に周りの女子はノックアウト。


そんな事を知らない本人は俺にひたすら話しかけてくるし、周りの男子は佐々部に運動部の勧誘を持ちかけようと必死だった。



「あのなぁ窪原。友達って言うのは気付いたらなってるもんなんだって! だから俺と窪原はもう友達なんだよ!」

「え、待て、色々おかしいだろ」

「いいや、おかしくない!」

「俺がいつお前と友達になった」

「俺がこの教室来た瞬間!」

「………」



馬鹿だ……。 佐々部が馬鹿なことももちろん有名で知っていたつもりだけど、ここまでとは……。


ある意味尊敬するぞ、おい。


放心状態の俺に無邪気な笑顔を向けてくる佐々部は本当にいい奴で、純粋なんだろうな…。



「あ、分かった! じゃあ俺の幼なじみに会ったらそれで友達だよな!?」

「うん、違うな」

「えー! うーん…とりあえず会わね?」

「会わなくても知ってるし」

「そっか〜…んー……」



1人悩みに悩んでいる中そんな必死になる理由を俺なりに探してた。


なんで俺なんだって。


関わりたくない、けど、そんな事言えなかった。言いたく、なかった……。


だからコイツを傷付けず諦めさせる方法を一生懸命考えてたんだよ。