本当は昨日の夜も眠れなかった。


暖の話を聞くだけなのに、私には覚悟が必要な気がした。


お母さんが隠してる秘密。


暖が隠してる秘密。


それが繋がってるんだって分かった瞬間、怖くて怖くて涙が止まらなかった。


その真実を知ってしまえば、私はもうあとには戻れなくなると分かってたから。


それでも暖を追いかけたのは、ちゃんと暖が話してくれるって信じてたから。


暖の言葉で聞きたいと思ったから。


お母さんを信じてないわけじゃない。


お母さんから聞きたくないわけじゃない。


お母さんより、暖を選んでしまっただけ――……。


ごめんなさい、親不孝な娘で……。


だけど解ってください。


私が初めて、心の底から好きだと思った人が暖だから。 私が初めて愛しいと思った人だから。


だから、許して……。


強くない私だけど、必ず強くなってみせる。 泣いたりしない強さを身につけるから…。


もう、お母さんを泣かせたりしないから。


暖を苦しみから助けてあげたいから。


不意に見せる暖の苦しそうな、悲しそうな顔から私は救いたい。


暖に誰もいないって言うなら私がいるよって。 仁と後も一緒にいてくれるようにお願いするから。


だから、暖。



「泣かないで――」



君は、独りじゃないから。


ゆっくりでいいから。 絶対に聞き逃したりしない。逃げたりしない。


暖の思いを全部、私は受け止めたい。