走れ。走れ、私。
暖、どこにいるの?
1人で悩んだりしてない? 1人で泣きそうになったりしてない?
私には仁と後がいてくれる。
暖には誰がいるのかな…。
もし、もしも、暖の中に1番に浮かぶ人が私になれたら……。
そんな事を思うようになっちゃったんだ…。
恋なんて知らない。
愛なんて分かんない。
―――それでも今の私は、暖を想うこの気持ちが恋で、愛なんだと思ってる。
私に初めての感情を与えてくれた人。
今どこにいますか…?
ひたすら走って暖を探してるだなんて馬鹿げた話かもしれない。
それでも見つかると思ってるから。信じてるから。
暖を、見つけたいと思ってるから。
「……っ暖!」
――ほら。
「………凛?」
「……みっ、見つけた…!」
君の後ろ姿で分かってしまう。
こんなに愛おしいと思ってしまう。
ごめんね、暖。
許してくれるかな。 やっぱり怒っちゃうかな。
「あのね、暖……」
嫌われるって思うと怖くて震えそうになるけど、仁と後が押してくれた背中を、今ここに立っている意味を無駄にしたくない。
だから、嫌われても聞かなきゃいけないと思うの。
「暖あの、話……」
「……昨日の…だよな…」
「……うん。 暖の声で、言葉で、聞かせてほしい…」
前に進めないなんて、もうイヤ。


