そうとなれば直接暖の元へ行くしかないわね…。


だけどなんて言えばいい…?


好きって言うの?


今、このタイミングで?


え、昨日の今日で…無理よ。



「それは…っ、無理よ……」



いざとなれば行けると思ってた。


暖のクラスは2つ隣だから、1分くらいで行ける。


だけど、この前の寂しそうな、泣きそうな顔した暖を前にして好きだなんて言えない……っ…。


私にそんな勇気ないもの……。


仁だったら言えたかもしれない。


後だったら素直に言えたかもしれない。


だけど私は、本当は――。


溢れそうになる涙をグッと堪えた時。



「凛、呼んでる」

「え、……っ!!」



仁の声とともに顔を上げれば、扉付近で私の方を見てる暖がいた。


動けない私を前に仁がこっちに戻ってくれる。



「……凛。無理しなくていいんだよ? 嫌ならあたしが断ってあげるから」

「凛、俺が変わりに話聞いてやろうか?」

「ちょっと後うるさい黙ってて」

「なんでぇー!?」



いつもの2人を前に動けないでいた私の足がふと軽くなった気がした。


大丈夫。今なら大丈夫。


そう思えたから、「行ってくる、また明日ね」それだけ伝えて暖のもとに行った。


本当は怖くて仕方ないんだけど、そうも言ってられないでしょ。


だって、だって――。



「凛、帰ろ…」

「………うん…」



大好きな君が、自分の足で私の元へ来てくれたんだから……。