だけど今のは絶対、絶対、窪原くんのせいだよ。


反則でしょ……あんな顔で笑うなんて…知るわけないじゃない……。


きっと、仁だって知らない。


後なんてこの先も知れない。


それくらい貴重な笑顔だと思う。


窪原くんの笑顔を、独り占めしてしまった――……。



「……? おい、顔赤いっ…」

「っ!!」



なんの躊躇いもなく私の頬に触れる長い腕。


ゴツゴツした手の甲。


私の知らない、男の子の手――。


ダメ……。 頭がクラクラする…。



「おい! 大丈夫か?」



一瞬手放してしまった意識を取り戻した時、私は大好きな彼の腕の中にいた。



「っ、え!?」

「うわっ!」



な、何!? どういう事!? なんで、私…っ!!


パニック状態の頭の中を一生懸命整理しようとするけど、クラクラする頭が正常に働いてくれるわけがなくて。



「っ、たぁ……」



こめかみ辺りを軽く抑えながら自分の置かれている状況を理解する。


えっと、まず……。 私は窪原くんに後のことで謝ってる時に窪原くんの笑顔を見ちゃって、それと同時に頭痛がして……。



「え、私、倒れたの……?」