ビッチが結婚するまで

知らない男の人が帰ったのは外が真っ暗になった頃だった。

「歩美！挨拶しな。達也さんだよ。」

「・・・・」

バシッ

頭を叩かれるのなんていつもの事。
なのにママが怖くてたまらなかった。

「まあ、また来るよ。千絵ちゃんまたね。」

「また連絡するねぇ♪」



知らない男の人が帰った後、ママに釘を刺された。
「パパに言ったらママ出て行くからね。」

「・・・・・」

何で言っちゃいけないんだろう。
幼い頭でずっと考えても答えは出なかった。


それから数日経った日、パパが帰ってきた。
ママとの約束を完全に忘れていた私は、パパが居なかった時の事を話していた。
幼稚園であった事、新しい歌を覚えたこと、知らない男の人が来たこと・・・。

パパはずっと笑顔でうんうんって聞いてくれていた。
だから私はママが睨んでいる意味が分からなかった。



この日私がママとの約束を守っていたら今でも幸せな家庭だったかもしれない。