ビッチが結婚するまで

それからばあちゃんとパパが話し合って急遽転校が決まった。

「ねえばあちゃん。ここの家はどうするの？」

「ここは売りに出すかそのまんまじゃないかねえ。」

なんだか寂しくなった。
ママとの唯一の思い出の場所が無くなるようで。

私は毎日暇で運動が好きだった事もあり、転校先で仲良くなった加奈ちゃんと
地域でやっている剣道を習うことになった。
ばあちゃんに「忍耐力をつけて来い」と言われ始めた剣道。
試合のときは必ずばあちゃんとじいちゃんが来てくれる。
地域の大会で準優勝した時なんかばあちゃんは泣いて喜んでくれた。

剣道は楽しかったけど学校は相変わらず苦手だった。

授業参観はばあちゃんが来てくれたけど、その時の私は周りと違う事が恥ずかしくて
ばあちゃんに冷たく当たってしまっていた。
運動会はパパが来てくれていたけど、彼女も一緒でやっぱりいい気持ちではなかった。

私はたまにパパの彼女　みかちゃん　の家に遊びに行く。
初めて泊まりに行った時の事だった。
みんなでご飯を食べて順番にお風呂に入って布団を敷く。
私は当然パパと寝れると思っていた。

だけど私の布団は子供部屋に敷かれていた

「パパと一緒に寝たい・・。」

「無理。優斗と優香と寝なさい。」

「分かった・・。」

私はみかちゃんの子供たちと寝ることに。

時計の秒針だけが聞こえる中やっぱり不安で眠れない。

「寝るまででいいから一緒にいたい」

「何で？」

「眠れない。」



「じゃあ死ぬか？」

そう言ってパパはサバイバルナイフを渡してきた。

怖くなった私は泣きながらみかちゃんの家を飛び出した。

どうして？何で？パパは優しかったのに・・。
私はもう要らない子なんだ。
死んでしまいたい。

初めて死にたいと思った。
だけど死ぬ勇気も無ければ方法も分からない。

幸い携帯はポケットに入っていたのでばあちゃんに電話して迎えにきてもらった。

この日から卒業式までパパと会うことはなかった。