どうして、私じゃない女の子を貴方は抱き締めているの

私が好きだって言った貴方は何処へ行ったの

私のことなんてそんなに好きでも無かったってことなの


「さよなら」


苦しくて苦しくて、頑張って何か言おうと思って必死に頭を回転させたけど出た言葉は"さよなら"だった


諦めた
葉山くんのことなんか嫌いだ

そう言い聞かせて私は教室に行った


「おはよー!」


友達がいつもどうり挨拶してくる

「おはよう」

私は気付かれないように笑顔で返した

「あ、晃くんおはよう」


後ろの席の晃くんにもいつもどうりに挨拶をする

「……おはよ」

小さな声だけどいつもしっかりと返してくれる
晃くんは優しい


私と葉山くんは隣の席だった
周りのみんなに仕組まれてなった席だ
今はそれがすごくすごく辛い
席替えしたい
出来ないのに願ってしまう


私と葉山くんが一言も喋らないからみんなからバレるのは時間の問題だろうな

でも、だからといって喋りたくないし


「な、七海……?」


たとえ喋りかけられても無視する

もう、好きじゃないって自分に言い聞かせても仕方ないことはわかってるのに、何度も言い聞かせてる

全く自分で何をしてるんだろう


「ななみー!」

友達が駆け寄ってくる
ついに来たか……

「葉山くんと何かあったの?」

わざわざ話したくもないから私は笑顔で答えた

「なんでもない」

無理があるかな……?

でもこうするしかないし


「なんかあったらちゃんと言うんだよ!」

そう言ってくれる友達

その優しさが嬉しくて堪らなかった



授業が終わって帰ろうとしたら

「話したいことあるんだけど…」

葉山くんが話しかけてきた

「何……?」

「あ、えっと……」


すぐに一言ごめんって言ってくれればいいのに

「帰る」

私は葉山くんに背を向けて歩きだした

「待って!」

腕を捕まれて引き寄せられた



晃side

元気がない
最初はそんな気にしてなかった
でもやっぱりおかしかった

何かあったんだろう

仲の良かった彼氏と喋ってなかったから喧嘩でもしたのかな

いつのまにかあの子のことが頭から離れなくなっていた

「やめてよ!」

そんな時彼女の声が聞こえた




七海side

「やめてよ!」

気付いたら叫んでた

私は泣いていた

「私が嫌いならそう言ってよ!かげでこそこそして笑ってたんでしょ!もう嫌いだから話しかけてこないで!!」

「っ……!」

泣きながら廊下を走った


<ドンッ>


「あ、ごめんなさ……」

「?!ど、どうしたの?」

私がぶつかったのは晃くんだった




葉山side

本当に好きなのはただ1人だけ

好きなのに、どうしてこうも簡単に俺から離れるんだろうか

とぼとぼ廊下を歩いていた
そんな俺の目に映ったのは見たくないものだった




七海side

晃くんがなぐさめてくれた

詳しいことは話してないし途切れ途切れだったのに晃くんは話を聞いてくれた

「ごめんなさい……こんな話……」

「いや、平気」

どうしてだろう、晃くんと一緒だと安心する




葉山side

「七海……?」

俺の目に映ったのは泣いた七海と話している同じクラスの人だった
「…葉山…くん」

彼女を庇うようにして男が俺の方を向いた

「俺なら泣かせるようなことしない」

「……っ!」

言い返せない、その通りだ




七海side

「俺なら泣かせるようなことしない」

一瞬晃くんが何を言ったのかわからなかった

「好きな人泣かせるとかありえないから」

それを葉山くんに向かって言ったら私の手を引いて走り出した

「あ、晃くん!?」

問いかけても答えてくれなくて、しばらく走った


「はぁ……っ……疲れた~!」

「ごめん、俺……!」

晃くんは慌てた様子だった

「平気だよ、ありがとね」

葉山くんに言った言葉はよくわからないけど…

「あ、のさ……アイツと別れるの?」

いきなりの質問で驚いたけど……アイツって葉山くんだよね?

「あ、うん。多分もう無理かな……」

本音だった

「それなら……」




晃side

「それなら……」

今言わなきゃ多分後悔する

「俺じゃ、ダメかな?」

「え……?」

「か、考えといて」

恥ずかしくなって彼女の前から走って逃げた




七海side

晃くんがすごい勢いでにげて行ってしまった

「っ……////」

てか、私告白されたんだ……

「恥ずかしい……//」

家に帰るまでドキドキが止まらなかった

どうして晃くんに告白されてこんなに嬉しいんだろう

恥ずかしくて多分顔が真っ赤になってると思うけど一度考えたら止まらなくて

「私はきっと晃くんのこと……」