走馬灯

そんな時だった。

あんなに順調だった父さんの会社が

かなりヤバイらしいと知ったのは!


でもそれほど切羽詰まってるなんて

思ってもみなかった。


その日はいつものように配達をして、

会社に帰ると兄ちゃんが

青ざめた顔で

“やばいよ!!

父さんが血圧の薬を飲まないでフラフラしながら仕事してんだよ!”

と言ってきた。


うちの父さんは

かなりの高血圧で

薬は絶対に手放せない。

それが薬を飲まないなんて

どういうことだ・・・?


とにかく俺は仕事を終えて

父さんと一緒に家に帰った。


兄ちゃんは近くのアパートで一人暮しをしている。

いつもは兄ちゃんも一緒に家に帰るのだが、

今日は彼女と出かけるらしい。


何もなければ良いが・・・。