「さっき、クラスを教えてくれたーー「何のこと?」
お礼を言おうと思ったのに、冷たい言葉で遮られた。
あれ?人違いかな?
いや、人違いじゃない。こんな顔が整った人なんてなかなかいないよ。
「ーーよしと。パンいるか?奢ってやる。」
そう言って彼はずっと立って足早に
教室を出ていった。
「っしゃ。あざーす! あ、みのりちゃん、あいつ田島翔(たしま しょう)って言うから、覚えてやって〜。んじゃ!」
と指を指して紹介してくれた。
田島翔くんかーー
どうして、知らないふりをされたのだろう。
わたしはただお礼を言いたかっただけなのに。
「起こしちゃったから?」
今のあたしには答えはそれしか出てこなかった。
