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「…あれ??」
しまった!!迷った~!
ロビーにはちゃんと行けたのに…
みんなに心配されちゃう…どうしよう。

ん??まてよ?
…もし私がこのままいなくなったら…もう慶吾くんと居なくて済む。
辛い思いはしなくて済む。
「…どこかに、行こうかな……」

あ、でも先生達にまで迷惑かけちゃう。
…ダメだ。やっぱり戻ろう。

そう思って私は全力で走った。
でも…
「あれ??よけい迷った…??」
…何かここ、違うような気がする。
時計の針はもう10時を過ぎている。
もう遅いだからか、人も居ない。

…怖いよ。














───「七海…!!!!」
!? え、私のこと…呼んでる!?
…慶吾くん…。
私に気づいて、ゆっくりとこっちに歩いてくる。その表情はいつもの冷たい慶吾くんではなくて…
「やっと見つけた…」
そう言い、…!?

私は慶吾くんの腕の中にいる。

…ハグされてる!? 私が!?

私は動けなかった。



…5分程たっただろうか。
私の左手には慶吾くんの右手。
ある部屋に入るとパッと離された。

「友梨…!!!!!!」
「美咲…」
ああ、ここは私が探してた部屋か。

「友梨ちゃんが戻ってこれて良かった」
慶吾くんと仲良しの子もほっとしてる。
「友梨は昔からすぐ迷子になるから…」
…うん。そうだね。私はなんでこんなに迷子になりやすいんだろう。


私は、みんなが寝てもなかなか寝ることができなかった。

…慶吾くんにハグされたことが頭から離れなくて。