「今からは京都につく15分前まで自由時間でーす!!」

花梨先生の声が3-1の新幹線内に響く。

あれから色々あって、何故か隣の席に慶吾くんがいます。

私が慶吾くんを認識してなかったことに呆れてる…!?

塾で会うと無視されるんです。あぁ…

美咲ともう一人の班の男の子は学級委員だから花梨先生と打ち合わせしてる。

つまり、そうです。はい。慶吾くんと二人きりなんですはああ。
おまけに新幹線の席は四つごとに薄い壁で区切られており個室状態。

空気重いよ…!!!!

廊下はうるさくてよけい気まずくなる。

これって、謝った方がいい…??
こんな感じじゃあ三泊四日の修学旅行が楽しめないし…仲直り的なのしちゃえば…いいよね??
それに、美咲も優しいって言ってたし!!

「…慶吾くん。あの、ごめんね。」
「…は??」
…冷たい…。本当に優しい??
「…慶吾、くんの…その…認識がなくて、ごめんなさい。」
「…あんたバカなの??」
ピシッ…と心臓に突き刺さる言葉。
今、バカって…。
「…ぁ、……」
慶吾くんは目を見開いている。
…私の涙を見て。

「ごめ、ん…なさ、い…」
「…なんで謝るの??」
きつい態度によけいに涙が出る。
…怖いよ。
「…勝手に、泣い、てごめっ…ん、なさい…」
「ぁ…いやそういうことじゃなくて、なんで今さら」
え…?? だって…
「塾…で会っても、他人みたい、な感じ、だから…私、認識…できてな、くて悪かった、なって…」
「…あ、そ」
「っ…」
「…泣かれるの面倒なんだけど」
私の心はぼろぼろだ。
…慶吾くんって本当はさっぱりした子なんだ…。