白い糸

瀬見さんはいい人そうで仲良くしたい。

彼女の口が開いた。

「先生、会いましたか、彼に」

彼?

「誰ですか?」

「105号室の心臓病の男の子なんですけど、背が高くて、カッコイイんですよ!」

瀬見さんは声を高くして言った。
105号室って、担当する患者さんに挨拶まわりした時にいなかったところだ。部屋は4人部屋なので、その人かはわからないけど。

「その子、小さい時に心臓病になって、治ったらしいんですけど、また再発したらしくて…
先生って、心臓病の手術も専門ですよね、1回会って、話を聞いてみてはどうでしょうか。
図々しくってすみません。」