人間は生まれてから死に向かって生きていく。
いつ死ぬのかは分からない
生まれた瞬間から病に見舞われるのか、不意の事故で命を落とすのか

本当にわからないものだ
思ってもみなかった
自分が20前半にして癌で死ぬとは……
いやぁ、驚いた


そして更に驚きなのは

俺の肉体は既に、焼かれ骨になり
墓に入れられている。
それなに
俺の意識は未だこの世界にあった。

これが普通なのだろうか
死んだ事が無いため分からないことだらけだ


肉体が無い今
視界もなければ、聴力もない
全身の感覚がない

真っ暗な世界に浮いている感覚


これから俺は
どうすればいいのだろうか…




[ あ、やっべ
連れて帰るの忘れてるよ…
どうするのこれ……ほっといたら化けて出るよ… ]




あ、なんか聞こえた

前言撤回、聴力あった。

と言うか
恐ろしい単語聞こえた


化けて出るって……俺
幽霊になるってこと??
え、嫌だ

全人類から嫌われる存在になんてなりたくない




[ …うーん
化けて出たくはないかぁ
それなら…新しい命で形を変えて生きていくしかないね ]




あ、なんだか分からないけどそれで頼むわ


……今更だけど

スゲェナチュラルに知らない人と会話出来てる
死後の世界って凄いなぁ




[ ほら。準備出来たよ
行っておいで…… ]




その言葉を聞いた直後
俺の意識はシャットアウトされ

次に目覚めた時は




『オギャァァー!オギャァァ!』





何故こうなった……
ものすごく急展開。

確かに…うん。

形を変えて生きていくしか無いとか言ってたよね。
あの…多分神様的な人。

けども

赤ん坊になるなら
前世の記憶を消して欲しかった。


ひとまず



この現実を全力で否定したい。