桜の君。
僕は、前世から名は代わっておりません。
僕の名をご存知ならよろしいのですが。

生憎、僕はあなたの名前を知りません。

あゝ。
僕の元にあるあなたの扇。

魂を宿しておるのならば、きっと彼女の元に導いてくれるよね。

「はぁ。」

空を見ながら、大きなため息をついた。