桜の君!
桜の君!

此処は、夢の中だということは、容易に分かった。

「桜の君!あなたは、今、何処にいるんだ!?」

パンッ!

何かが上から落ちてきた。
これは………

「僕が昔あげた扇?」

丁寧に扱っていただろう、表面に艶のある品だった。

しかし、裏は血の色で紅く染められていた。

「桜の君!」