「やめて!」

桜の君は常磐を押さえつけようとしたが、常磐は、桜の君を蹴り飛ばした。

「嫌……………」

桜の君の弱々しい声がした。

「知らないの?人はね、他人と幸せを踏みつけて幸せになるの。犠牲なしでは、誰も幸せになんかなれないわ。」

「何を言う!?」

「つまり、あんたは、犠牲だってことね。可哀想に。」

ヒクヒクと、桜の君が泣く声がした。
僕は、なにも、出来なかった。