マズい、本当に負ける…。

もうこうなったらヤケだ!

「答えようがないので本当に別れてください!

小宮課長ファンの皆さまから殺されたくないんです!」

早口でまくし立てるように言った後、小宮課長を突き飛ばした。

「イテテ…!」

突き飛ばしたせいで近くの椅子にぶつかった音がしたけれど、小宮課長の心配をしている場合ではない。

「ですので、ごめんなさい!

失礼しました!」

小宮課長の顔も見ることなく早口で叫ぶと、小会議室から逃げ出した。

これなら小宮課長も考え直すはずだ。

考え直したうえでわたしと別れて、佐和子を選んでくれるはずだ。

そう思いながら、一足先にオフィスへと戻ったのだった。