干物ハニーと冷酷ダーリン



珍しく編集会議以外で呼ばれたと思ったらこれだ。


人事異動?
しかもそれがミルキー編集部だと?

少女漫画なんて、生まれてこのかた読んだ事すらもない。
少年漫画ならまだしも、少女漫画だぞ。


第一、漫画の編集のノウハウなど皆無に近い。


そもそも何で俺が?


訳のわからない人事異動に頭が真っ白になった。



現在すでにミルキー編集部には、6人編集者がいる。


求人で適当に募集をかけ、面接を受けに来たやつを何も考えずに採用したという無法の部だ。


その中に俺が?

冗談じゃない。



馬鹿編集長に抗議して、取り消してもらおうと思って立ち上がった時、




『おーい、水城ー!』



『…何だ黒崎。今お前に構ってる暇はない』



段ボールを抱えてやってきた黒崎。
何故かその表情はにやけていて、気持ち悪い。



『そんな事、言うなよ。お前も異動だろ?これから一緒に頑張ろうぜ!』



『…………はっ?』



『俺は、一足お先に行ってるわ!じゃあな』


だから、あの段ボールか。

黒崎、お前も……。
ますます、頭な痛くなってきた。