干物ハニーと冷酷ダーリン


川本かなで。

あいつが入社して、6年か…。

俺が文芸編集部から異動したのが8年前。


ミルキー編集部ができて8年。



経営難に陥ったダンテ出版社は、何を思ったのか小説だけではなく少女漫画の発行という無謀にも思える事に手を出してしまった。



少女漫画の編集なんて、なんの知識もない文芸編集者には未知の世界だった。



当時、俺は28歳。

22からこの出版社で働き始めて、6年目で俺は馬鹿編集長の下、副編集長にまでなっていたこの頃。


このまま文芸編集部で馬鹿編集長が定年退職して、その後の編集長は俺になるのだろうと誰もが思っていた矢先に起こった。







『………は?人事異動?』



『そうだ、社長直々のお達しだ。今の担当作家の入稿がすんだらミルキー編集部に移ってくれ。それまでに次の担当に引き継ぎしといてくれ』