結果を出してこそ編集者だ。
そして、その結果を残した編集者が出版社を辞めてやるんだ。
どんな顔をするか見物だ。
藤田先生と二人きりの祝賀会を済ませたら、退職願いを馬鹿な編集長に突きだそう。
そう思って、藤田先生の家に日本酒を持って訪れた。
『藤田先生、この度はおめでとうございます』
『何だか、水城くんに畏まって言われると恥ずかしいよ。止してくれよ』
優しく微笑む藤田さんは、まるで他人事のように何時もと変わらずそこに座っていた。
『私は、最後の最後でとても素晴らしい編集者に恵まれた』
小さな声で、それでいてはっきりと藤田先生はそう言った。
