藤田登(ふじた のぼる)


俺が初めて担当編集を任された作家。


これと言ってヒットした小説はなく、徐々に発行部数が減らされていった。



年齢68歳。


デジタル化が当たり前になっていたこの時代に原稿用紙と万年筆で物語り書き続けていた。




編集長は、新人が担当するにはちょうどいい作家だと思っていたのだろう。




その浅はかな考えが妙に腹立たしかった。


新人が担当だから、それにみあった作家など居るわけがない。


担当編集が誰であろうとも、作家は作家だ。



編集長が勝手にランク付けした作家の順位を壊してやる。

その鼻っ柱をへし折ってやる。




無我夢中で独学で勉強して、藤田先生と何度も物語りの構成を打ち合わせした。