本来、こういった事は水城さんの仕事なはずなのに。
あの人は只今、絶賛出張中である。
元々、予定にあったらしい。そんなの今日聞いたわ。
行き先は知らない。
悠長にお話しなんてしてる余裕すらなかった。
こういう時の為の副編集長では?
あいにく黒崎さんも一度戻ってきて数分も滞在しないうちに鈴村先生の元に戻って行った。
ので、あたしが電車に揺られているわけですけど、さっきっから絶え間なく振るえているあたしのスマホ。
全て、黒崎さんからのメッセージである。
2割が、自分が行けない事の謝罪。
残りの8割が嘆きのオンパレード。
こんな時にやめて欲しい。
あたしだって口から内臓が出るくらい緊張してる。
あたしだって嘆けるものなら嘆き返したい。
けど、あまりに黒崎さんから送られてくるメッセージが恐怖すぎて無理。
あの人も相当イカれてる。
電車を降りる直前、1通だけ送っておいた。
“お仕事に専念されてみてはどうでしょうか”
それでも止まないメッセージにイラッとして、サイレントマナーにしてやった。
