『どうせ俺もお前も家には寝に帰ってくるようなもんだ。一緒に住んだ所でなんの支障もないだろ』


「……えっ、やっ、でも」



『部屋も片付ければ一つ空くし、お前はそこを使えばいい。それなら敷金も礼金も家賃もかからない。今なら荷物の運び入れも手伝ってやる』



「よろしくお願いします!」



目の前のエサにまんまと飛び付いた結果、水城さんと同棲する事になった。

今後の面倒事より目の前の楽。

どっちを取るかっていったら、もちろん楽ちんな道をあたしは選ぶよ。



あまりの食い付きっぷりに水城さんは、


『もう少し手強いと思ってたけどな、、、お前、変なのに騙されるなよ?お前みたいのが騙すには簡単だからな』


と、変に心配された。



「あっ、でも家賃とか光熱費は折半しましょう!ほら、今流行りのルームシェアですよ!ルームシェア!」


明日の休日をだいぶ楽に過ごせると思ってルンルン気分のあたし。



そんなあたしを水城さんが冷めた目で見ていたとは知らず、明日に備えてちょっぱやでシャワーを浴びて就寝した。


それも水城さんのベッドを我が物顔で使った。



水城は思った。


女とは、なんたるものか。


哲学染みたそれに、答えはない。

なぜなら、それが川本かなでであるからだ。