干物ハニーと冷酷ダーリン




一瞬その眼力に怯みそうになるが、水城さんにと買ってきたコーヒーを勝手に飲んでバクバクしている気持ちを落ち着かせる。



は?それ俺に持ってきたんじゃねぇのかよ。



と、水城さんが言ったのは聞こえていたがスルーした。
あたしも喉が渇いてた。あたしの喉の方が緊急性が高かったんだ。仕方なかったんだよ、水城さん。





「…確かに高橋が伝え忘れたのが原因の1つですが、全てうちのミスって言うのも違うと思いまして」



『はぁー?』


「言ってはなんですが、リストアップした資料は営業部にあがったんですよね?それを確認したのは副部長ですよね?それを話が通ってるもんだと曖昧な解釈でポンッと水城さんのデスクに置いていったんですよ?」



『だから、何だ。そもそも、そいつが水城に伝え忘れなきゃこんな事にはならなかったんだろうが』



「はい?お言葉ですが、こちらからしたら、そもそもそんなに大事な資料を不在だからとデスク置いただけにしたから、こんな事になったんだと思いまして」



『………………』



「営業部では、大事な資料でも確認を疎かにして不在でもデスクに置けば責任を果たしたと見なされるんでしょうか?そこで確認さえしていれば、最悪な事態は回避できたと思うのですが、それでもこちらに全責任があるのならもう一度謝罪します」



『……、だがっ』




「それに、何故そんな大事だと分かっている打ち合わせの連絡をたかが一本の電話だけなんですか?長谷川部長、外回りに出てたとしても、電話の1本や2本できましたよね?少なからず、あたしは歩きながら走りながらでさえ電話くらい出来ますよ」



『………………』



日々の営業部との部数会議の賜物なのか、鍛えに鍛えられた相手に喋る間すら与えないあたしのマシンガントークに対抗できるものなら、応戦してみろ。


こちとらこんな事6年間もやってるんだ。