自販機でコーヒーを2本買う。
相変わらず、缶が異様に熱い。まだ直してないのかこの販売機。


Tシャツの裾に缶を包み、高橋さんと営業部に向かう。
編集部の前を通る際、黒崎さんが親指を立てて満面の笑顔を向けてきたのは見なかった事にした。




「あの、川本さん、、、ちょっとトイレに寄ってもいいですか?」


「えっ。あ、うん。そうだね」



涙でぐしゃぐしゃになった顔を洗いたかったのだろう。
高橋さんは、早足でトイレに駆け込んで行った。




はぁ………。どうしよう。

これは完璧あたしもどやされる。

それ自体はいいんだけど、今回の件で高橋さんが辞めてしまったらどうしよう。


普通なら辞めるよね。ゆとり世代は忍耐力がないとか責任感が欠けてるとかいうけど、それは上に立つ人間が下の気持ちを分かろうとしないからであって世代云々じゃない。


そもそも、ゆとり世代からしたら何のために上司がいるんだと。

部下の失敗をフォローする技量あるから上司になったんだろうと言いたいもんだ。

それを寄って集ってガミガミと。

ゆとり世代をなめるな、こんちくしょう。

謝罪し終わったら、嫌みの1つでも言ってくれるわ。