編集部では、時々。
いや、日常茶飯事並に誰かしらトラブルを引き起こしたり珍事件や、前代未聞の大事件を更新したりする事はあるが、これはこれでまた新たなハイグレード級な問題を引き起こしたりのだ。




今回は、書店からのクレームや印刷所からの苦情、作家絡みの事ではないにしろ非常に厄介な所から爆弾が投下された。





『おい!このクソ編集部!水城はいるか!!』



突然の怒号に徹夜組の面々は、閉じかかっていた瞼を一気に吊り上げた。


『………何の用だ』


ただ、一人を除いて。





誰もが予想もしなかった営業部部長の出現に眠気も覚め、ズカズカと水城のデスクまで詰め寄る長谷川部長は水城に劣らずの鬼の形相。



なのに、水城は至って普通。



その後の状況を察知してなのか、俺以外の徹夜組の逃げ足の速さには感心するものがある。


見事に、全員いなくなった。


入稿日の修羅場より、よっぽどこっちの方が嫌だったんだね。俺もそう思う。