「あの、あたしじゃなくても相崎さんが誘えばいくらでも食事を共にしてくれる女性いると思いますけど?」
みる限り、女には苦労しなさそうな顔を持っているのだから、声を掛けなくても女から寄ってくるだろうに。
『俺は、川本さんがいいんです』
断り続けても、嫌みたらしく言ってみても、にこにこしている相崎さんは、尚誘い続ける。
嫌な顔1つ見せず、あくまで笑顔で。
逆にこっちが、悪いことしてるんじゃないかと罪悪感すら出てきてしまう。
「いや、でもごめんなさい。あたしあんまり外食とか好きじゃないんです」
罪悪感を持ち合わせていたところで、性分には勝てるはずもなく、結局は断る。
その場しのぎの嘘は言っていない。
外食は好きじゃない。
だって、あたしはインドアだ。
仮に外食をしても、後藤さんの所にしか行かない。というか、行き馴れた所じゃないと行きたくない。
『それなら、長い時間拘束はしません。何時でもいいので、一杯お酒でも付き合って下さい』
「……お酒はちょっと、、、今禁酒してるんです」
これも嘘じゃない。
いつぞやの旅行から1滴たりとも飲んでいない。あの日、そう自分で誓った。
