「久留米先生!!開けて下さい!久留米先生は知らないと思いますけど、あたしここの大家さんと仲良くなったんですよ!開けないなら、大家さんに言って家賃の値上げ交渉しますよ!」



なーんて、嘘ぱちだけど、こうでも言わなきゃ出てこないし。



『………うるさい。値上げしたって別に困らないけど、好きにすれば?』



ドアチェーンと久留米先生はセットなんですか?この絵面何度も見てます。


少し開いた隙間から、こちらを睨む。


確かに売れっ子漫画家の久留米先生には、家賃の値上げなどたいして脅しにもなっていなかった。


クソッ。金持ちめ。



「そんな事言っていいんですか?久留米先生だけじゃないですよ?ここのアパートの部屋すべて値上げです。それが久留米先生のせいだって知られたら、ここに居づらくなりますよ?引っ越ししなきゃですよ?引っ越しですよ、引っ越し!」



引っ越しの言葉に、渋々嫌々ドアを開ける久留米先生は、余程引っ越しは嫌らしい。


まぁ、面倒ですもんね。

締め切りも守れない先生がその上、引っ越しだなんて死活問題ですもんね。

睡眠時間さえ、なくなっちゃいますもんね。


賢明な判断です。




全部作り話の嘘八百だけど。