ええ、あたしもそう思います。

決して編集部と営業部の仲が悪いわけではない。仲が悪いわけではないのだが、その上に立っている編集長と営業部長の性格の不一致といいますか……。


全体的に長谷川さんが、水城さんを目の敵にしている所がある。

同期のくせに。



「えー、それでは、始めさせていただきます」


総務部の北原さん。

どの会議でも、進行役はいつも総務部の方になっている。



「それでは、今回の企画ですが、フェアで行う書店に配布する部数の件ですが………」



『3万!!それ以上だと売れ行きがない。在庫持ちになる』


キタキタキタ、営業部長の長谷川節。

けれど、あたしも負けない!


「6万!この漫画家さんは今注目されてます。中高生にも大人気です。サイン会が同時にされるとなれば妥当な数字です」


『6万が妥当だと。正気かそれは!』


「正気ですよ!この書店はネット販売もしています。予約数を見て下さい。これは先週までの集計なので、今はこれより増えています」


どうだ、この数字を見てもまだ何かを言えるものなら言ってみろコラー!!



『だが、当日はスペースの都合上、野外だ。サイン会があるからと言って必ずしも客足があるとは限らない』


何だとこの野郎。
まだ言うか!!