「あのー、水城さん。仕事終わりでさぞお疲れでしょう。早く休まれた方がいいですよ?」
来てもらっておいて、申し訳ないがここはお引き取り願おう。
居たたまれない上に、ちょっと疲れましたよあたし。
『だから、俺がここに来たのだが?』
「……はい?」
『営業が企画の変更を要求してきやがった。黒崎が突っ張ねてはいるが、あっちも強情でな』
「…その企画って、あのー。あたしのですよね?あたし、休んでる場合じゃないと思うのですが……」
『だから、早く治せと言っている』
緊急事態発生です。
あれよこれよと考えている暇はない。
とにかく、今は一刻も早く熱だけでも下げないと。
選択肢などもはやない。
「水城さん!不躾なのは重々承知で言います!あたしの看病して下さい!!」
『は?……ッ!ちょ、お、おい!』
水城さんの腕を掴むと、そのまま部屋へと連れ込む。端から見れば全くの痴女である。
よかった、誰もいなくて。
「いいですか水城さん。あたし明日は出社しないと行けないので、冷えピタを貼って寝てるので、体温計と薬を見つけ出して下さい」
水城さんは、そりゃもう鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
すみません、ごめんなさい。あとはよろしくお願いします。
お休みなさい。
