狼くんが


女の子馴れしてるはずの狼くんが



震えていた。




「…狼くん?…怒ってる?」

「……嬉しいんだよ…バカ」

「バカはないでしょ…。
可愛いカッコしてきついこと言うなぁ」




わたしは狼くんから離れて言った。


狼くんは赤い顔のまま口を尖らせた。



「結構はずいんだからな!!
この格好…」

「でもわたしためにやってくれたんでしょ?」

「うっ…」

「わたしは嬉しいよ?
それに似合ってるし、可愛い!」



悪戯っぽく言ったわたしを狼くんは力強く抱きしめた。


「意地悪るばっか言ってるとキスするぞ」




茶色い猫っ毛の隙間から見えた耳は

真っ赤に染まっていた。



結構強がってる…?


可愛いとこあるんだ。





「…いいよ…。
この前みたいに乱暴にしないんだったら」

「ぐっ…、……しねぇよ」

「んじゃ、いいよ」

「…何か偉そう……」

「文句あるならしなくていいよ」

「ありませんありません!!
します!させて下さい!!」





何か立場逆転してる気がする…。




.