暫らくして落ち着いたわたしは、大貴に家まで送ってもらった。


「あの子のためだったんだ」

大貴は運転をしながら、ぽつりと呟いた。


「…え…?」

「恐怖症を治したいのは…あの男の子のためなんだな」

「…狼くんの……ため?」


そう言われれば、そうなのかもしれない。


確かに、狼くんのことをもっと知りたくて、強くなりたいって

思ったかもしれない。



……でも…


「わたし…言っちゃったの…。

男の人が、恐いこと…」


さっきの

あの瞬間の狼くんのショックを受けた表情が頭に焼き付いて離れない。



「それでも桃は…あの、狼って子のことが、好きなんだろ?」


「すっ……好き!?…わたしが?狼くんのことを??」