「ごめん大くん!」

「いいよ。乗って」


大貴はわたしの腕を掴んだ。

「キャッ!!」


まだ急なボディータッチには慣れていない。


わたしは一歩後退り、悲鳴を上げた。



「ご、ごめん」

「まだ慣れないかぁ」


大貴がため息を吐いたとき


「行くなよ!!」


と、腕を掴まれた。


「ろ、狼くん…!?」



狼くんは何も言わずにわたしを塾の裏に連れていき

壁に押しつけた。


「ちょ……狼…………んっ」



荒々しく奪われた唇からは

狼くんの熱が伝わってきた。



「ん…ぅあ…あ……」


狼くんはわたしの唇を解放し

首筋に自らの唇を這わせた。



「あ…あ……や、…ァ――」


抵抗しても、無駄だ。



また…過去の記憶が蘇りつつあった。



「い、や……イヤアァァァ――」


闇をも裂くようなわたしの悲鳴に、狼くんは唇を放した。



「怖い…!!怖いの!!
お、男の人が…ァ…怖い――」

「!!」



わたしは頭を抱え、その場にしゃがみ込んだ。






「っ!………ごめん…」


狼くんは小さく呟き

去っていった。